少し前に、同じ題名で親が約束を守ることの重要性を書きました。
(
我慢できる子を育てるために大事なこと)
あれはあれで大事なことなのですが、肝心のモンテッソーリ的な考え方を書くのを忘れていました。
モンテッソーリの人間観では、およそあらゆる問題の原因が、
「敏感期に正常な発達ができなかったことによる」
と考えられています。我慢出来るかできないかも、すべて正常化の問題。したがって、我慢できる子に育てるためには
「敏感期、自分で選んだことに継続的に取り組み、満足して終わらせる体験の繰り返しが必要」
としているのです。
「やりたいことをさせていれば、我慢ができるようになる? そんなバカな?」と考える方がいるかもしれません。しかし、それなりに根拠のある話ではあるのです。
モンテッソーリ教育で重視されているのは、自分で選んだ、手を使う作業に集中することです。
作業に集中する時、前頭前野は脳の他の部分を抑制し、目的のために従わせます。これは本能的な脳の欲求を抑制する訓練になるでしょう。
また、手を使う作業には試行錯誤が欠かせません。眼窩前頭野という部位は、行動と結果を比較して、より適切な行動を取れるように調整する働きをしています。またこの部位は、我慢や抑制の時にも重要な働きをしていることがわかっています。
試行錯誤を繰り返すことにより訓練されて、我慢や集中ができるようになる可能性があるのです。
つまり脳科学的にいえば、手を使っての作業は、欲望を抑え、目的に集中する訓練として最適だということができるでしょう。
こうしたことを、観察から導き出していた、モンテッソーリの先進性は見事だと思います。