前述したとおり、モンテッソーリ教育最大の特徴が敏感期の活用です。
敏感期とよく似た言葉に「臨界期」があります。この二つは生物学では、ほぼ同じ意味です。ただし日本で教育について語る場合には別の意味になることが多いですね。
「臨界期」は、絶対音感とか語学とかの早期教育を語る場合に使われます。
「敏感期」はモンテッソーリ教育で使われる事が多いです。
以下、臨界期と敏感期の違いをさらっとまとめてみます。
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臨界期は、脳が柔らかい期間のこと
幼児期の脳は、多くのニューロン(脳細胞の結びつき)を作る作業と、使わないニューロンを消す作業を、同時に行なっています。ニューロン活動の盛んな時期は、一般に8、9歳ごろまでといわれています。これが、臨界期です。
だから、脳が固くなる8、9歳くらいまでにいろいろ教えこもう、と言うのが臨界期を頭に置いた教育です。
一言でいうと、「早ければ何でも覚えやすい」というのが臨界期の考え方。
イラストはフリー素材「子供と動物のイラスト屋さん」から
敏感期は、特定の学習意欲が高まっている状態
それに対して敏感期は、子供の意欲を中心とした考え方です。ツバメのヒナは、巣立ちが近づいてくると、誰に教えられなくても羽ばたきの練習を始めます。人間にもこうした本能のプログラムがあると考えます。
例えば、文字の敏感期がきている子供は、「覚えたい!」という意欲に燃えていますから、本や教材を与えておくだけで、いくらでも文字を覚えます。これを敏感期の前に教えようとしても、子供自身の「覚えたい」という意欲が無いため、苦労ばかり多くて結果が出ません。遅くても、意欲が無くなってから勉強することになりますから、やはり大変。
だから敏感期は「何かの学習意欲が高まる時期」と考えた方がいいですね。それを活かすのがモンテッソーリ教育。
敏感期を活用するには
敏感期は本能によるものなので、親や教師が決めることはできません。「その時に持っている意欲を最大限に活かしてやること」が敏感期の考え方です。
親にできることは、いろいろなものに触れられるようにしておき、何かの敏感期が来ていると思ったら環境を整えてやること。そして、子どもの邪魔をしないこと。
こう言うと面倒くさいように思うかもしれませんが、そんなに複雑な話ではありません。誤解を恐れずシンプルに言ってしまえば、
「敏感期とは、子どもが何かに夢中になって取り組んでいるとき」
と考えておけばいいのです。だから、「子供が今、何に興味を持っているか理解する」というのがモンテッソーリ教育最大のポイントなのです。
・文字の敏感期については、「文字の敏感期についての個人的体験」に書いてあります。
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