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2014年9月1日月曜日

ADHDは、本当に育て方と関係がないのか?

 最初に書いておきますが、この記事に書かれたことは私個人の考えであり、現時点で十分な根拠をもつ説ではありません。そのことに注意して読み進めてください。

■ADHDとは?

 ADHDの子供は、落ち着いて座っていたり、注意を持続することが苦手。やっていることを途中で忘れてしまったり、忘れ物が多かったりします。大きな声を出したり、衝動的に歩きまわったりするので、学級崩壊の原因と言われることもあります。日本の場合、子供のだいたい5%がADHDというデータも。

 昔は躾の問題と言われていましたが、今では生まれつき脳の一部が上手く働かない事によるものであると考えられています。

 しかし最近、いろんな本を読んでいて、ADHDはすべて生まれつき、という理論に疑問を感じるようになってきました。生育環境によってADHD、またはその類似症状が生じることがあるのではないか、と思うのです。

■ADHDは、幼児期の環境から?

 生育環境が原因と考えるのは、生育環境と問題行動の関連性を表すデータがあちこちで見られるからです。たとえば

・子供時代の大きなストレスが、行動に影響
 前々回に紹介した「成功する子・失敗する子」に、子供の頃に強いストレスを受けると、問題行動が増えるという調査結果がありました。
 問題行動を起こす子供の割合は、ストレス体験値0の子供で3%。ストレス体験値4以上の子供で52%と、完全な比例関係があります。

・親と子供の愛着関係の不足が行動に影響
 同じく「成功する子・失敗する子」のデータ。
 親が子供の感情を汲み取り、話しかけたり抱っこしたりすることは、ストレスの悪影響を緩和する働きがあります。そのため、親が子供の感情を無視したり、関わらなかった場合にも、問題行動の確率が上がります(前回を御覧ください)。

・ストレスによる脳の損傷
虐待を受けた子供の脳では、ストレスにより脳細胞が破壊されます。とくにダメージが大きいのは一時記憶を司る海馬。被虐待児では、そうでない場合と比べて10%前後小さくなっているそうです。
 現在、海馬の不調がADHDの原因の1つと考える学者がいます。海馬はコンピュータで言うとメモリにあたり、その能力が低いと、記憶能力の減少や行動の不安定を起こすと考えられているのです。

 海馬の他に、感情を司る扁桃体も破壊され、急激な攻撃性や、うつ状態などの原因となるという説もあります。

■モンテッソーリ教育からは

 モンテッソーリ教育では、敏感期に十分な集中ができなかった場合には、落ち着きが無い、乱暴であるなどの逸脱発達が起こるとしています。

 以前も書いたように、手を使う作業に集中することは、脳の自制心を司る部分を訓練すると考えられます。
 親の過干渉で自らの課題に集中できなかったり、作業をする環境が無かったりすると、その機会を得られず、問題行動を起こしやすくなるのです。

 虐待やストレスの場合と違うのは、脳細胞が破壊されるのではなく、発育の機会が不足していること。そこで、手を使う作業に集中する機会を持つことで「正常化」、つまり回復させることができるというのが、モンテッソーリ教育の考え方です。

■もちろん育て方と関係のないADHDもある。しかし…

 ADHDは脳の機能の問題なので、しつけが足りないとか、甘やかしによって発症するというのは明らかな間違いです。また、生まれつきADHDの人もいるでしょう。それは間違いありません。

 しかし、育つ過程で脳が傷つけられたり、必要な発達ができないことがある以上、環境によっても発症する可能性を考えるのが自然ではないでしょうか。全て生まれつきの問題で、育ちに関係ないというのは、かえって不自然です。

 もし未発達による問題行動なら、集中出来る環境を作れば改善する可能性があります。また、萎縮した海馬も、安定した環境で生活していれば、細胞の新生を助けることがわかってきています。
 回復の可能性があるのに、すべてを生まれつきのせいにしてしまうのは、かえってチャンスを奪うとも思われます。
 今後、生育歴や脳の働きなど、さらなる調査が必要だと思います。

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