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2017年12月17日日曜日

子供の本は、今が一番おもしろい

 子どもの本は、面白くないのが基本だったのです。

 少し前のことですが「もじゃもじゃペーター」という本を読みました。
 これは1845年、今から170年以上も前にドイツで発表された子供向け絵本の古典なのですが…
 …内容がすごいんですよ。

 たとえば、
・マッチ遊びをしている女の子は焼け死んで灰になる。
・スープが嫌いと言った男の子は痩せて餓死する。
・指しゃぶりをしている子供の指は、ハサミで切り落とされてしまう…

 どの話も「大人の言うことを聞かない子供は酷い目に遭う」というだけの内容で、はっきり言って、ひきます。

 現代の目から見ると驚きますが、この頃、ドイツではようやく子供の学校教育が一般的になってきたころ。
 本は子供に何かを教えるためのもので、楽しむものではなかったのです。

 日本でも一昔前は、「子供の本は、何かを学ばせるためのもの」という意味合いが強くありました。
 教訓や、文学的な味わい、あるいは反戦童話などのメッセージがあるものが良いものとされ、メッセージ性のないものは、一段下に置かれたものです。

 私が子供だった頃「ズッコケ三人組」という児童書のシリーズがありました。小学生男子の失敗や冒険の話は、当時の小学生に大人気だったのですが、教育関係者の反応は芳しくありませんでした。
「面白いだけの本を子供に与えてはいけない」
 という、いまから考えれば笑うしかないような理由で叩かれていたものです。

 そうした権威主義が薄れてきた今、子供の本は実にバラエティ豊かです。面白いもの、考えさせるもの、教えるものなど、多岐にわたって、書かれています。
 大人のお仕着せでなく、子供たちが進んで手に取り、選ばれる本が、その中から生き残っていく。

 たぶん、子供の本の歴史上、いまが一番面白い時代なのです。

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