技術や商売の世界では、ナンバーワンは極めて有利。特許や広告効果などを考えれば、十分に意味があります。
では、子育ての時は?
親としては子供に優秀になってほしいと思うもの。とはいえ、
「1番でなくちゃ、意味が無い!」
とまでいうと、子供を不幸にする呪いになります。
■テレビ・ネット時代の不幸
昔はよかったのです。人間の村というのは、150人位の規模であった時代が長かったらしいのですが、この人数で「何かで一番になれ!」というのは、わりと簡単な事。
「村一番の美人」
「村一番の足の早さ」
「村一番の知恵者」
などなど、何かの分野を限れば、すぐに一番になれます。集団の中で自分の長所を認識し、自信を持つことができるわけです。
ところが、テレビやインターネットがあると、そうはいきません。世界中の情報が入ってきますので、一番になるのは極めて難しくなります。
近所で一番の美人でも、テレビの中にはそれ以上の美人がゴロゴロ。足の早さの一番は世界陸上で決定されるし、頭のいい人は、いくらでもいる。
そんな時代に「一番でなくちゃ、意味が無い」という価値観を持てば、どう考えても辛いだけ。
「どうせ一番になんかなれないし、意味が無いなら、やる価値がないよね」と、努力そのものから逃げてしまえば、本来出せるはずだった力も、出せなくなってしまいます。
■幸せのもとは、身近な人間の認証
「もともと特別なオンリーワン!」というのも、流行りました。多分、子供の幸せを思うなら、ナンバーワンじゃなくて、オンリーワン。
ただ誤解してはいけないのですが、オンリーワンは「個性的」という意味ではありません。これだけたくさんの人がいる中で、誰とも違う個性があるなんて、ありえないことです。
「人と違っていなければいけない」
というのでは、ナンバーワンのときと同じで、ムダなプレッシャーになるだけ。
普通に手に入れられるオンリーワンは、身近な人間関係の中にあります。親から見て、友達から見てなど、近くの人が見て、かけがえのない、たった1人という意味。これなら、誰でも本当の意味でオンリーワンになれます。
オンリーワンの自分の価値を信じられる子供は、勝ち負けや人との比較といった、外部の要因に左右されること無く、自分の能力を伸ばしていけるのではないでしょうか。
多くの育児書が、子供を甘えさせること、自己肯定感を育てることの重要性を語っているのは、そういうことではないかと思うのです。
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