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2012年10月5日金曜日

子供に甘いのが、日本の伝統でした


 日本は昔から子供をかわいがる国だったようです。
 幕末に日本にきた外国人が、世界で一番子供に甘い国だと表現するくらい。
 いわく、赤ちゃんは常時だっこやおんぶされており、放っておかれることがない。大人は子供とよく遊び、声高に叱ることもほとんどない。
「母親にだっこされている子供が、芋をかじるのと交互におっぱいを飲んでいた」という微笑ましい記述もありました。現代から見ても、大甘に甘い育て方です
 
 武士道の教科書とも言われる「葉隠」に、子育て論があります。
 「武士道とは死ぬことと見つけたり」のフレーズで有名な厳しい本だから、子育てについてもさぞやスパルタかと思えば、
「幼いときから勇気を勧め、おどしたりだましたりしてはならない。(略)泣きやませようとして怖い話などするのはもってのほかである。(略)幼いときに強く叱ると引っ込み思案になってしまうから気をつけよ」
 これがあの「早く死ぬ方に片付くばかりなり」の本とはとても思えない気遣いぶり。

 こうして甘く育てられた子供たちが、どんな大人になったか。甘やかしたらワガママになるんじゃないかと思われがちですが、外国人たちは口をそろえて「日本人は、他のどの国民よりも礼儀正しく、親切だった」といいます。
 甘く育てられたのに親切だったのか?
 いや、甘く育てられたからこそ、親切だったのでしょう。

 モンテッソーリは子供の特長として「吸収する力」をあげています。とくに三歳までは周りの環境をそのまま吸収するとのこと。
 いくら礼儀作法を仕込んでも、横暴な態度で教えれば、子供は横暴な態度を覚えます。体罰を使って教えれば、「いうことを聞かない相手は叩いてもいい」と覚えるでしょう。
 教える内容よりも、態度のほうが重要かもしれないのです。親の姿がそのまま子どもの将来の姿になると思えば、どうしても寛容に、根気強くならざるを得ません。そうして関係をしっかり築き、しかるのちに教えるべきことを教えていくのが、日本の伝統だったようです。

 怖い父親、厳しいしつけという日本的子育てのイメージは、実は明治以降のもの。西洋の子育て理論が持ち込まれて来てからのようです。
 子供中心主義といわれる昨今。実は日本の伝統的子育てに戻っているだけなのです。

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