親楽子楽
親は気楽に、子供は楽しく … モンテッソーリ教育を中心に、育児書の話など
リンクユニット上
2018年12月30日日曜日
今年度から、中学入試が変わる
表題、唐突なようですが、ちゃんとした根拠があります。
どのような方法で選べば、入学後に伸びる優秀な生徒を選抜することができるか。その基準が明確にされてしまったからです。
基準を示したのは、2018年のベストセラー「AIvs教科書が読めない子どもたち」。
AI(人工知能)の性能はどんどん向上して、いずれ人間の仕事を奪うようになる、と言われています。
著者はAIの開発者で、AIには得意分野と不得意分野に極端な差があると語ります。とくに、ものごとの関連性や価値観などの「意味」を理解するのが苦手なので、意味の理解を必要とする仕事は、当分の間、AIに取って代わられないだろうと予想します。
ところが、人間にも、意味が理解できない人が多いというのです。著者が開発したRSTという読解力テストを人間に解いてもらったところ、中学生、高校生はもちろん、大人でも文章の意味が正確に理解できない人が、かなりの高確率でいることが判明します。
例えば右の問題では、中学生の半分、高校生の三分の一が、正解できていません。
読解力がない人たちは「AIにできない仕事」につくことができないため、今後AIに仕事を奪われる可能性が高い、というのが、著者の主張です。
さて、話を戻します。
この本の中で、読解力と成績について書いた部分があります。
高校生の読解力と、在籍する高校の偏差値を調査したところ、非常に強い関係性があったそうです(読解力が高い生徒は、偏差値の高い学校にいる)。
その理由を、著者はこう分析します。
「読解力のある生徒は、教師の説明をすぐに理解できる。教科書や参考書を読みとって、自ら学習することもできる。そのため読解力が低い生徒よりも成績が伸びて、偏値の高い高校に進学すると考えられる」
受験のある学校、とくに私立学校は、優秀な生徒を集めて学校の評価を上げなくてはなりません。そこで優秀な受験生を選別するためのテストが作られてきました。
とはいえ、問題のパターンは限られており、塾などで集中的に詰め込めば、対策が可能。入学したあとで伸びない生徒が合格する可能性もありました。
ここで、RSTを始めとする読解力テストの重要性が出てきます。
読解力テストは対策が難しく(国語は、短期間で成績が伸ばしにくい科目とされています)、受験生のその後の伸びを高確率で判定できるとなれば、学校としては願ったり叶ったり。
成績を上げやすい生徒を判定できる、こんな便利なツールを、受験担当者が使わないはずはありません。
もちろん、すでにわかって使っていた学校は多かったでしょう。
しかし、その根拠がデータで示された以上、より読解力重視にかわるはずです。
そうなったとき、子供にどうやって読解力をつけてやればいいのか。それについては、次回。
2017年12月17日日曜日
子供の本は、今が一番おもしろい
子どもの本は、面白くないのが基本だったのです。
少し前のことですが「もじゃもじゃペーター」という本を読みました。
これは1845年、今から170年以上も前にドイツで発表された子供向け絵本の古典なのですが…
…内容がすごいんですよ。
たとえば、
・マッチ遊びをしている女の子は焼け死んで灰になる。
・スープが嫌いと言った男の子は痩せて餓死する。
・指しゃぶりをしている子供の指は、ハサミで切り落とされてしまう…
どの話も「大人の言うことを聞かない子供は酷い目に遭う」というだけの内容で、はっきり言って、ひきます。
現代の目から見ると驚きますが、この頃、ドイツではようやく子供の学校教育が一般的になってきたころ。
本は子供に何かを教えるためのもので、楽しむものではなかったのです。
日本でも一昔前は、「子供の本は、何かを学ばせるためのもの」という意味合いが強くありました。
教訓や、文学的な味わい、あるいは反戦童話などのメッセージがあるものが良いものとされ、メッセージ性のないものは、一段下に置かれたものです。
私が子供だった頃「ズッコケ三人組」という児童書のシリーズがありました。小学生男子の失敗や冒険の話は、当時の小学生に大人気だったのですが、教育関係者の反応は芳しくありませんでした。
「面白いだけの本を子供に与えてはいけない」
という、いまから考えれば笑うしかないような理由で叩かれていたものです。
そうした権威主義が薄れてきた今、子供の本は実にバラエティ豊かです。面白いもの、考えさせるもの、教えるものなど、多岐にわたって、書かれています。
大人のお仕着せでなく、子供たちが進んで手に取り、選ばれる本が、その中から生き残っていく。
たぶん、子供の本の歴史上、いまが一番面白い時代なのです。
少し前のことですが「もじゃもじゃペーター」という本を読みました。
これは1845年、今から170年以上も前にドイツで発表された子供向け絵本の古典なのですが…
…内容がすごいんですよ。
たとえば、
・マッチ遊びをしている女の子は焼け死んで灰になる。
・スープが嫌いと言った男の子は痩せて餓死する。
・指しゃぶりをしている子供の指は、ハサミで切り落とされてしまう…
どの話も「大人の言うことを聞かない子供は酷い目に遭う」というだけの内容で、はっきり言って、ひきます。
現代の目から見ると驚きますが、この頃、ドイツではようやく子供の学校教育が一般的になってきたころ。
本は子供に何かを教えるためのもので、楽しむものではなかったのです。
日本でも一昔前は、「子供の本は、何かを学ばせるためのもの」という意味合いが強くありました。
教訓や、文学的な味わい、あるいは反戦童話などのメッセージがあるものが良いものとされ、メッセージ性のないものは、一段下に置かれたものです。
私が子供だった頃「ズッコケ三人組」という児童書のシリーズがありました。小学生男子の失敗や冒険の話は、当時の小学生に大人気だったのですが、教育関係者の反応は芳しくありませんでした。
「面白いだけの本を子供に与えてはいけない」
という、いまから考えれば笑うしかないような理由で叩かれていたものです。
そうした権威主義が薄れてきた今、子供の本は実にバラエティ豊かです。面白いもの、考えさせるもの、教えるものなど、多岐にわたって、書かれています。
大人のお仕着せでなく、子供たちが進んで手に取り、選ばれる本が、その中から生き残っていく。
たぶん、子供の本の歴史上、いまが一番面白い時代なのです。
2016年9月30日金曜日
学力向上の裏ワザ、速読を1日3分で習得する
個人的に、読書は人生の基本だと信じています。
だから、子供にも本をたくさん読んでほしい。読むのが速ければ、たくさんの本が読めるはず。
■速読は受験にも有利!
日本速読協会によると、日本人の平均的な読書速度は、1分間に400文字だそうです。文庫本が1ページ600~700文字程度ですから、1分半で1ページを読み終わるくらい。
だから、子供にも本をたくさん読んでほしい。読むのが速ければ、たくさんの本が読めるはず。
■速読は受験にも有利!
日本速読協会によると、日本人の平均的な読書速度は、1分間に400文字だそうです。文庫本が1ページ600~700文字程度ですから、1分半で1ページを読み終わるくらい。
ただし、学力と読書速度には相関関係があり、東大京大の学生では、1分間で1000文字を超えるとか。
読む速度が2倍なら、教科書や参考書が半分の時間で読めるのですから、ありそうな話です。
読む速度が2倍なら、教科書や参考書が半分の時間で読めるのですから、ありそうな話です。
人生がひろがるだけでなく、受験にも有利な速読。子供に覚えさせたいですね。
速読は、そんなに特別な技術ではありません。
インターチェンジ効果という、脳の特性を利用すれば、誰でも身につけることができます。
■脳を高速化する「インターチェンジ効果」
車を運転する人なら、高速道路を走った後、一般道での走行が遅く感じたことはないでしょうか?
この速度感覚のズレは、インターチェンジ効果と呼ばれています。
高速道路を走っている間、脳は目から入ってくる情報を処理するため、普通より速く働いています。そこで一般道に下りると、情報の量が激減。余裕ができた脳は、一般道の速度を遅いと感じます。
私達が本を読む時も同じ。
速い文字の流れに目を慣らせば、普段の読み方が遅いと感じるようになり、読書速度が上がってきます。
■脳を高速化する「インターチェンジ効果」
この速度感覚のズレは、インターチェンジ効果と呼ばれています。
高速道路を走っている間、脳は目から入ってくる情報を処理するため、普通より速く働いています。そこで一般道に下りると、情報の量が激減。余裕ができた脳は、一般道の速度を遅いと感じます。
私達が本を読む時も同じ。
速い文字の流れに目を慣らせば、普段の読み方が遅いと感じるようになり、読書速度が上がってきます。
■1日3分、2週間で速読
①準備するもの
ソフトカバーの本と、タイマーだけ。
②速度計測
まずは、自分の読書速度を計ります。
適当に本を開き、1分間で何行読めるか、タイマーを使って計測します。計測結果は覚えておいて下さい。
③訓練は3分間
①準備するもの
ソフトカバーの本と、タイマーだけ。
②速度計測
まずは、自分の読書速度を計ります。
適当に本を開き、1分間で何行読めるか、タイマーを使って計測します。計測結果は覚えておいて下さい。
③訓練は3分間
子供に教える時は、大人がページをめくってやります。子供にはページを眺めさせ、文字が見えるかどうかを尋ねます。
「見えるかー?」
「ちょっと見えるー」
などと会話しながら、なんとか文字が見えるくらいの速度にします。
現れては消えてゆく文字を眺めて3分間。
④再度計測
タイマーを使って、1分間の読書速度を計ります。
大抵の人は読み出した時点で、「見え方が変わった!」と驚きます。視野が広くなり、一度に見える文字の量が増えているのです。2倍程度になっている人が多いですね。
■あとは練習を続けるだけ
この練習、一回だけでは、5分もしないうちに元の速度に戻ってしまいます。
しかし、これを2週間も続ければ、脳は「速いのが当たり前」と感じるようになり、速読が定着します。
2、3倍程度まではすぐに身につきますが、続ければもっと速くなることも。
小学4年生の娘は、一ヶ月程度の練習で、特に意識することなく、1分に1500字(児童書で3ページ)くらい読んでいます。 子供にとって、速読の一番のメリットは、本に対して積極的になれること。かんたんなので、一度試してみませんか?
現れては消えてゆく文字を眺めて3分間。
④再度計測
タイマーを使って、1分間の読書速度を計ります。
大抵の人は読み出した時点で、「見え方が変わった!」と驚きます。視野が広くなり、一度に見える文字の量が増えているのです。2倍程度になっている人が多いですね。
■あとは練習を続けるだけ
この練習、一回だけでは、5分もしないうちに元の速度に戻ってしまいます。
しかし、これを2週間も続ければ、脳は「速いのが当たり前」と感じるようになり、速読が定着します。
2、3倍程度まではすぐに身につきますが、続ければもっと速くなることも。
小学4年生の娘は、一ヶ月程度の練習で、特に意識することなく、1分に1500字(児童書で3ページ)くらい読んでいます。 子供にとって、速読の一番のメリットは、本に対して積極的になれること。かんたんなので、一度試してみませんか?
2016年1月18日月曜日
褒めて伸ばすには、コツがある②
前回書いた、褒めて育てる話。
子供に何か望ましい行動をさせたければ、望ましい行動と「楽しい・嬉しい」という感情を結びつける必要があるという話でした。
例えば、子供が手伝いをすると、親が笑顔でほめてくれる、という場合。子供にとって、お手伝いをすること自体に良いイメージが生まれ、またお手伝いをしようという意欲に繋がる「強化」が起こるわけですね。
さて、これを実際に使うにあたっては、幾つかの注意が必要です。
①結果ではなく、意志、意欲に注目
何かを始めようとする子供が、最初から上手くできることは、絶対にありません。つまり、「よくできたら褒めよう」「成し遂げられたら褒めよう」と考えていると、褒める機械はありません。といって、不完全な結果を褒めるのは、ウソをついていることになります。
だから、必要なのは「意欲」をほめること。お手伝いをしようとしたら、その気持ちをほめる。何かを頑張っていたら、頑張りをほめる。結果ではなく、子供の姿勢をほめるのです。
②ハードルを細かく、段階的に上げてゆくこと
たとえば、子供が皿洗いを手伝おうとした場合、最初は皿を運んできただけで褒めたり喜んだりしてみせます。
最初は、持ってきだだけで褒める。それができるようになったら、次は洗おうとしただけで褒める…。
私たちが「後片付け」と、ひとかたまりに考えている行動も、実際はいくつもの段階の組み合わせでできています。その一つ一つを分けて考えることで褒める要素が増え、新しい行動を教えらるようになります。
③ダメ出しは「イエス・アンド」で!
子供が何かをしたら、つい「ここがまだ足りないね」という指摘をしたくなるもの。しかし、強化の原則から考えれば、マズイことになります。せっかく頑張ったのに、直後にダメ出しをされると、そこにイヤな記憶が結びつき、行動から遠ざけてしまいます。
先ほどの皿洗いの例で言えば、皿を洗った直後に「洗い足りない」「もっと音を立てずに洗って」とダメ出しをされると、皿洗いとダメ出しが結びつきます。
「やっても叱られるだけなら、やらないよ」
ということで、進んで皿洗いをする気持ちは消えてしまいます。
ここで使われるのが「イエス・アンド法」
まず最初に、やってくれたことをほめる。そのあと、ごく短く「あと、ここもお願いできる?」と要求をつけ加えるのです。あくまでメインは褒めること。やったことを否定せずに、つけくわえることで、意欲をくじくのを防ぎます。
このイエス・アンド法は、子育てだけでなく、社会人としても使えるスキル。子供を相手にするうちに、役立つ技能が身につくかもです。
子供に何か望ましい行動をさせたければ、望ましい行動と「楽しい・嬉しい」という感情を結びつける必要があるという話でした。
例えば、子供が手伝いをすると、親が笑顔でほめてくれる、という場合。子供にとって、お手伝いをすること自体に良いイメージが生まれ、またお手伝いをしようという意欲に繋がる「強化」が起こるわけですね。
さて、これを実際に使うにあたっては、幾つかの注意が必要です。
①結果ではなく、意志、意欲に注目
何かを始めようとする子供が、最初から上手くできることは、絶対にありません。つまり、「よくできたら褒めよう」「成し遂げられたら褒めよう」と考えていると、褒める機械はありません。といって、不完全な結果を褒めるのは、ウソをついていることになります。
だから、必要なのは「意欲」をほめること。お手伝いをしようとしたら、その気持ちをほめる。何かを頑張っていたら、頑張りをほめる。結果ではなく、子供の姿勢をほめるのです。
②ハードルを細かく、段階的に上げてゆくこと
たとえば、子供が皿洗いを手伝おうとした場合、最初は皿を運んできただけで褒めたり喜んだりしてみせます。
最初は、持ってきだだけで褒める。それができるようになったら、次は洗おうとしただけで褒める…。
私たちが「後片付け」と、ひとかたまりに考えている行動も、実際はいくつもの段階の組み合わせでできています。その一つ一つを分けて考えることで褒める要素が増え、新しい行動を教えらるようになります。
③ダメ出しは「イエス・アンド」で!
子供が何かをしたら、つい「ここがまだ足りないね」という指摘をしたくなるもの。しかし、強化の原則から考えれば、マズイことになります。せっかく頑張ったのに、直後にダメ出しをされると、そこにイヤな記憶が結びつき、行動から遠ざけてしまいます。
先ほどの皿洗いの例で言えば、皿を洗った直後に「洗い足りない」「もっと音を立てずに洗って」とダメ出しをされると、皿洗いとダメ出しが結びつきます。
「やっても叱られるだけなら、やらないよ」
ということで、進んで皿洗いをする気持ちは消えてしまいます。
ここで使われるのが「イエス・アンド法」
まず最初に、やってくれたことをほめる。そのあと、ごく短く「あと、ここもお願いできる?」と要求をつけ加えるのです。あくまでメインは褒めること。やったことを否定せずに、つけくわえることで、意欲をくじくのを防ぎます。
このイエス・アンド法は、子育てだけでなく、社会人としても使えるスキル。子供を相手にするうちに、役立つ技能が身につくかもです。
2015年9月27日日曜日
褒めて伸ばすには、コツがある①
子供が、宿題や課題をほっぽり出して、ダラダラしているとき。
つい「さっさとやりなさい!」と大声で叱ってしまいたくなります。言われて、イヤイヤながら机に向かっている背中に「そんなことでは…」とお説教を続けたり。
もしかしたら、そうした叱り方は、逆効果かもしれません。
それを教えてくれるのが、この本。
マンガでわかる 魔法のほめ方 PT: 叱らずに子どもを変える最強メソッド (単行本)
PTは、ペアレントトレーニングの略。ほめることによって子供を伸ばそう、という本です。
「ほめて伸ばすなんて、今まででも言われてきたことでしょ?」
と言いたくなるのですが、このPTの褒め方はいわゆる「ほめて伸ばす」方式とは根本から違います。
普通の「ほめて伸ばす」は、ほめて子供の自尊心を高め、やる気を出させることを目的にしています。
しかしPTではほめること(関わること)を「子供に与える利益」と考えます。子供の行動を観察し、子供が少しでも望ましい行動をしたら、すかさずほめます。良い行動には、利益。それが結びつくことで、目的の行動が増えると考えるのです。
私が最初にPTの本を読んだのは、もうかなり前のことでした。当時、この方法がなかなかピンとこなかったんですね。
「そんな風に、餌で釣るような方法が、いいのだろうか? 利益のないときに行動しなくなったりしないだろうか?」
という疑問を持っていました。
今にして思えばそれは褒めることを「利益で釣って、命令に従わせる」方法だと考えていたからでした。それが変わったのは、PTの元ネタと考えられる本を読んでからです。
うまくやるための強化の原理―飼いネコから配偶者まで
調教を専門としている人の研究所です。罰に頼ることの不合理、良い行動を「強化」することで教える合理性が、理論建てて説明され、納得させられます。
イルカにジャンプを教えるときには、イルカを観察します。そして、偶然ジャンプをした時に餌を与えるそうです。それを繰り返すと、イルカはジャンプと餌を結びつけ、餌のために飛ぶことを覚えます。
次には、繰り返されるジャンプの中から、少し高く飛んだ時にだけ餌を与えます。これを繰り返すと、イルカは高く飛ぶことを覚えます。
こうして、良い行動と、嬉しいという感情を結び付けることで、より望ましい行動へと誘導してゆく方法です。
罰という方法を用いないのは、それが「教える」ことには向いていないからです。
何かを教えているときに罰を与えられると、その行動と罰が、頭のなかで結びついて「教えられる行動=嫌なこと」と感じるようになります。
結果として、望ましい行動からますます遠ざけるという逆効果です。
こうした研究成果から、子供向けの内容を取り出したのがPTだと言えます。
ある意味ではドライすぎる方法ですが、実際に読んでいると納得することばかりなんですよね。全体として、子供に不快なことがあるわけでもなく、それで役に立つならいいんじゃないかという気がします。
ただ、この本の内容を実際に使うには、発送の転換を含めて何段階かの準備が必要です。
次回は、その準備の話を。
つい「さっさとやりなさい!」と大声で叱ってしまいたくなります。言われて、イヤイヤながら机に向かっている背中に「そんなことでは…」とお説教を続けたり。
もしかしたら、そうした叱り方は、逆効果かもしれません。
それを教えてくれるのが、この本。
マンガでわかる 魔法のほめ方 PT: 叱らずに子どもを変える最強メソッド (単行本)
PTは、ペアレントトレーニングの略。ほめることによって子供を伸ばそう、という本です。
「ほめて伸ばすなんて、今まででも言われてきたことでしょ?」
と言いたくなるのですが、このPTの褒め方はいわゆる「ほめて伸ばす」方式とは根本から違います。
普通の「ほめて伸ばす」は、ほめて子供の自尊心を高め、やる気を出させることを目的にしています。
しかしPTではほめること(関わること)を「子供に与える利益」と考えます。子供の行動を観察し、子供が少しでも望ましい行動をしたら、すかさずほめます。良い行動には、利益。それが結びつくことで、目的の行動が増えると考えるのです。
私が最初にPTの本を読んだのは、もうかなり前のことでした。当時、この方法がなかなかピンとこなかったんですね。
「そんな風に、餌で釣るような方法が、いいのだろうか? 利益のないときに行動しなくなったりしないだろうか?」
という疑問を持っていました。
今にして思えばそれは褒めることを「利益で釣って、命令に従わせる」方法だと考えていたからでした。それが変わったのは、PTの元ネタと考えられる本を読んでからです。
うまくやるための強化の原理―飼いネコから配偶者まで
調教を専門としている人の研究所です。罰に頼ることの不合理、良い行動を「強化」することで教える合理性が、理論建てて説明され、納得させられます。
イルカにジャンプを教えるときには、イルカを観察します。そして、偶然ジャンプをした時に餌を与えるそうです。それを繰り返すと、イルカはジャンプと餌を結びつけ、餌のために飛ぶことを覚えます。
次には、繰り返されるジャンプの中から、少し高く飛んだ時にだけ餌を与えます。これを繰り返すと、イルカは高く飛ぶことを覚えます。
こうして、良い行動と、嬉しいという感情を結び付けることで、より望ましい行動へと誘導してゆく方法です。
罰という方法を用いないのは、それが「教える」ことには向いていないからです。
何かを教えているときに罰を与えられると、その行動と罰が、頭のなかで結びついて「教えられる行動=嫌なこと」と感じるようになります。
結果として、望ましい行動からますます遠ざけるという逆効果です。
こうした研究成果から、子供向けの内容を取り出したのがPTだと言えます。
ただ、この本の内容を実際に使うには、発送の転換を含めて何段階かの準備が必要です。
次回は、その準備の話を。
2015年6月28日日曜日
子供を伸ばす、暗示の力
先日、テレビを見ていたら、メンタリストのdaigo氏と、元ライブドアの堀江貴文氏がババ抜きをするという企画がありました。
■メンタリスト、圧勝
持っているカードはそれぞれ5枚ずつ。それにジョーカーを加えて、ババ抜きをする。もちろん、最後にジョーカーを持っていた方が負けです。さてその勝負ですが…
…勝負になりませんでした。
堀江氏も交渉慣れしているということで連れて来られたのですが、まるで歯が立ちません。
daigo氏の持っているジョーカーを、一回目で引かされる。
堀江氏がジョーカーを持つと、入れた瞬間から位置を特定され、それならばとシャッフルしても、すぐに言い当てられてしまう。
まるで勝負になりませんでした。
■小さな暗示の大きな力
見ているうちに気になったのは、番組中でdaigo氏が使っている暗示が、驚くほどささやかだったこと。
例えば、堀江氏がカードを引くとき、daigo氏はカードを等間隔に並べず、ジョーカーの両側だけ隙間を数ミリ広くしました。言われなければ気づかない程度の差ですが、それだけでジョーカーが目に止まりやすくなるのだそうです。実際、堀江氏は簡単にそれを引いてしまいました。
続けてdaigo氏がカードを引く時には、ジョーカーが列の真ん中にあることをあっさりと見抜き、ジョーカー以外のカードを引きました。そして言うには
「両端、両端と繰り返し言うことで、両端に恐怖心を持つように誘導しました」
ほんの数分の暗示の結果がこれです。そう考えると、長い時間一緒にいる家族からの影響は無視できません。
■親の言葉は、全て暗示になる
子供に「バカ」と言い続けると本当に成績が落ちる、「レイベリング理論」はよく知られていますね。
「自分はバカだ」という自己イメージを持つと、努力で能力が伸ばせると思えなくなり、努力が続かないと考えられています。
問題点を指摘する際には「評価」ではなく「具体的な方法の提示」が必要。例えば「計算問題の練習が必要だね」のような。
あと、気をつけたほうがいいのは、「は」の使い方。
例えば「算数は良く出来たね」は、言外に「算数以外はダメ」という意味を含みます。ここは「算数がよく出来たね」と言いたいところ。
「昔は可愛かった」というのは、「今は可愛くない」という意味を含みますから、これも注意。
逆に「この問題は失敗したけど、頑張ったね」と、悪い方を限定し、他の部分を認める使い方もできます。
ちなみに、うちでは「は」の代わりに「から」を使います。
「昔から可愛かった!」
親ばか?
いいんです。娘を持つ父親なんて、みんなこんなもんです。
イラストは、子供と動物のイラスト屋さん から
■メンタリスト、圧勝
持っているカードはそれぞれ5枚ずつ。それにジョーカーを加えて、ババ抜きをする。もちろん、最後にジョーカーを持っていた方が負けです。さてその勝負ですが…
…勝負になりませんでした。
堀江氏も交渉慣れしているということで連れて来られたのですが、まるで歯が立ちません。
daigo氏の持っているジョーカーを、一回目で引かされる。
堀江氏がジョーカーを持つと、入れた瞬間から位置を特定され、それならばとシャッフルしても、すぐに言い当てられてしまう。
まるで勝負になりませんでした。
■小さな暗示の大きな力
見ているうちに気になったのは、番組中でdaigo氏が使っている暗示が、驚くほどささやかだったこと。
例えば、堀江氏がカードを引くとき、daigo氏はカードを等間隔に並べず、ジョーカーの両側だけ隙間を数ミリ広くしました。言われなければ気づかない程度の差ですが、それだけでジョーカーが目に止まりやすくなるのだそうです。実際、堀江氏は簡単にそれを引いてしまいました。
続けてdaigo氏がカードを引く時には、ジョーカーが列の真ん中にあることをあっさりと見抜き、ジョーカー以外のカードを引きました。そして言うには
「両端、両端と繰り返し言うことで、両端に恐怖心を持つように誘導しました」
ほんの数分の暗示の結果がこれです。そう考えると、長い時間一緒にいる家族からの影響は無視できません。
■親の言葉は、全て暗示になる
子供に「バカ」と言い続けると本当に成績が落ちる、「レイベリング理論」はよく知られていますね。
「自分はバカだ」という自己イメージを持つと、努力で能力が伸ばせると思えなくなり、努力が続かないと考えられています。
問題点を指摘する際には「評価」ではなく「具体的な方法の提示」が必要。例えば「計算問題の練習が必要だね」のような。
あと、気をつけたほうがいいのは、「は」の使い方。
例えば「算数は良く出来たね」は、言外に「算数以外はダメ」という意味を含みます。ここは「算数がよく出来たね」と言いたいところ。
「昔は可愛かった」というのは、「今は可愛くない」という意味を含みますから、これも注意。
逆に「この問題は失敗したけど、頑張ったね」と、悪い方を限定し、他の部分を認める使い方もできます。
ちなみに、うちでは「は」の代わりに「から」を使います。
「昔から可愛かった!」
親ばか?
いいんです。娘を持つ父親なんて、みんなこんなもんです。
イラストは、子供と動物のイラスト屋さん から
2015年6月3日水曜日
保育園を作るほど、少子化が進むかもしれない
政府は、待機児童を減らすために、保育園をさらに拡充するとのこと。少子化対策の一環だそうです。
働きたい女性が社会に出て、心置きなく働ける。その意味では歓迎すべきことです。しかし、それは少子化対策につながるのでしょうか?
もちろん、子供の預け先ができることで、働ける女性もいるわけです。経済的な余裕があれば、子供をもう一人産もうかと考える人が増えてもいいのですが…。
■家事の価値は?
そう考えたのは日経ビジネスオンラインの記事「リストラ・ひも・ウツ 育児に協力するオトコの世間体」という記事を読んだ時です。
イクメンという言葉が一般的になった現在でも、男が仕事をやめて育児に専念すると「リストラにあった?」とか「ヒモ?」などと言われてしまう現状。
「無能な人は家庭に入れ」という人もいるそうです。
家事はお金にならないので、評価されない。金銭を重視しすぎて、育児を含めた家事をする人が、軽んじられているのではないか、という内容でした。
経済的価値を高く見て、家事を低く見る価値観。
この価値観の極まるところは「最初から子供を持たない方が得だよね」という考えではないでしょうか?
■子育ては楽しいんだ、価値があるんだ、ともっと語ろう
評価されない仕事に就きたがる人はいません。
保育園で子供を預けて働く人が増え、それが当然になった時。
子育てする人が「働いてないの? なにやってるの」とか、「専業主婦で子育て? 楽だねえ」などと、言われるようになってしまったら、一所懸命子育てをする人は減ってしまうでしょう。
子供を育てることを含めた家事の意味をきちんと評価しない社会は、結局は子育てする人を失ってしまうのではないでしょうか?
働く人のために、保育園は大事。その一方で、自分で子育てをしたい人が、存分に子育てできる価値観も作っていかなくてはなりません(もちろん、経済も大事。フランスの出生率を上げたのは、結局のところ育児補助金ですから)。
本当のところ、子育てをきちんとやろうと思えば、たくさんの勉強が必要です。迷ったり考えたりもするし、試したり失敗したりします。子供に関わる自分自身のケアも必要で、決して簡単ではありません。そういったことの価値を認めることも、少子化対策には必要なはず。
ワークシェアリングなどで、男女ともきちんと育児に関われる、それでいて、育児が出世の妨げにならないような社会になればいいのですが。
自宅自営業で、子育てに関わってきた父親としては、子育ての楽しさと、やりがいをもっと語ってみたいのです。
イラストは、子供と動物のイラスト屋さん から
働きたい女性が社会に出て、心置きなく働ける。その意味では歓迎すべきことです。しかし、それは少子化対策につながるのでしょうか?
もちろん、子供の預け先ができることで、働ける女性もいるわけです。経済的な余裕があれば、子供をもう一人産もうかと考える人が増えてもいいのですが…。
■家事の価値は?
そう考えたのは日経ビジネスオンラインの記事「リストラ・ひも・ウツ 育児に協力するオトコの世間体」という記事を読んだ時です。
イクメンという言葉が一般的になった現在でも、男が仕事をやめて育児に専念すると「リストラにあった?」とか「ヒモ?」などと言われてしまう現状。
「無能な人は家庭に入れ」という人もいるそうです。
家事はお金にならないので、評価されない。金銭を重視しすぎて、育児を含めた家事をする人が、軽んじられているのではないか、という内容でした。
経済的価値を高く見て、家事を低く見る価値観。
この価値観の極まるところは「最初から子供を持たない方が得だよね」という考えではないでしょうか?
■子育ては楽しいんだ、価値があるんだ、ともっと語ろう
評価されない仕事に就きたがる人はいません。
保育園で子供を預けて働く人が増え、それが当然になった時。
子育てする人が「働いてないの? なにやってるの」とか、「専業主婦で子育て? 楽だねえ」などと、言われるようになってしまったら、一所懸命子育てをする人は減ってしまうでしょう。
子供を育てることを含めた家事の意味をきちんと評価しない社会は、結局は子育てする人を失ってしまうのではないでしょうか?
働く人のために、保育園は大事。その一方で、自分で子育てをしたい人が、存分に子育てできる価値観も作っていかなくてはなりません(もちろん、経済も大事。フランスの出生率を上げたのは、結局のところ育児補助金ですから)。
本当のところ、子育てをきちんとやろうと思えば、たくさんの勉強が必要です。迷ったり考えたりもするし、試したり失敗したりします。子供に関わる自分自身のケアも必要で、決して簡単ではありません。そういったことの価値を認めることも、少子化対策には必要なはず。
ワークシェアリングなどで、男女ともきちんと育児に関われる、それでいて、育児が出世の妨げにならないような社会になればいいのですが。
自宅自営業で、子育てに関わってきた父親としては、子育ての楽しさと、やりがいをもっと語ってみたいのです。
イラストは、子供と動物のイラスト屋さん から
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