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2015年1月10日土曜日

体罰の害が、愛情で変わる?

 今でも時々、体罰は有効かどうかという議論が出ることがあります。

 すでに統計調査では結論が出ていて、体罰を受けた人について「攻撃性が高くなる、犯罪に関わる可能性が高い、精神疾患を発症しやすい」などの関連性が証明されています。
 いわば、人生を踏み外す確率が上がるわけで、体罰は「百害あって一利あり(すぐに従わせることができるだけ)」といえます。

■受ける側の感じ方が問題?

 ただ、体罰に関しては、他に面白い調査があります。
 アメリカの調査で、体罰を受けた子供がどのくらい非行に走るかという調査がありました。白人の子供では、体罰を受けた子供は高い確率で非行に走りました。一方、黒人の子供ではそれほど大きな差は出なかったのです。

 研究者たちはその原因を「アメリカの黒人社会では「体罰は普通の指導」という認識があったので、子供たちは暴力と感じなかった。そのため、非行に走る率がそれほど上がらなかったのではないか」と解釈しています
 つまり体罰の害は、受ける側(子供)が、その体罰に愛情なり教育的意図を感じているかどうかで変わる、ということです。

 ただし、暴力的傾向や、精神疾患を発生する率については、記載はありませんでした。恐怖感や痛みのストレスが脳細胞に与える悪影響を考えると、社会的認識があっても悪影響を与えるのではないか、と私は考えます。(「子供時代の環境が一生を左右する」という調査 参照)。

■体罰を使うくらいなら

 体罰に愛情を感じない子供は、単なる暴力と感じます。
 痛みを恐れて言うことを聞くだけなので、見ている前では言うことを聞いても、親・指導者のいないところではルールを守りません。不当な扱いを受けたと恨みを抱くことで反抗的になり、指導をわざと無視することもあるでしょう。

 体罰を使うなら、愛情をしっかり伝えるだけの説明と、信頼関係を築く手間を惜しまない努力が必要ということになりそうです。

 実際のところ、それだけの手間を掛けるくらいなら、体罰を使わないほうが楽。そんな愛情と信頼関係があれば、体罰がなくても言うことを聞かせられるでしょう。
 仮にペナルティを与える場合でも、行動の制限なり、楽しみを我慢させるなり、体罰以外の方法はいくらでもありますし…。

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