前回書いた「子供に結果を体験させる」方法は、ウソのしつけにも使えます。
ウソをつくことがいけないのは、そのウソが真実としてまかり通ってしまうから。だから「ウソをつくな」という代わりに、子供のウソをあえて真実として扱い、子供が困るまで押し通してやるわけ。
ある日の食事時、娘が「もうおなかいっぱい。残していい?」といいました。見ると、皿の上に残っているのは嫌いなものだけ。本当におなかがいっぱいかどうかは見てればわかりますから、
「いいよ、残しなさい」
と言いました。
「はーい」
とニコニコの娘。それを見計らって、
「さあ、デザートだ」
とチョコレートやビスケットを取り出しました。あわてたのは娘。食事を残さず食べたときだけデザートというルールなので、さっき残した皿にとりかかろうとします。
「おなかいっぱいだから、無理に食べなくていいよ」
と皿を取り上げてしまうと、娘は「まだ食べられる!」と言い張りました。
ここで
「ウソをつくからだ!」
という叱り方もできるのですが、そこはあえて叱りません。
「さっき、おなかいっぱいって言ったよね。それともウソだった?」
子供でも、ウソという言葉はプライドが許さないらしいです。涙目になりながらも、納得しました。
まあ、一時間くらいたってから「そろそろおなかが空いたかな」と水を向けてやるのは、やっぱり甘いところ。
ウソが本当に怖いのは、ばれた時よりばれないとき。その怖さを幼いうちに体験すれば、ウソをつくことの意味がわかるのではないかと思います。
とはいうものの、娘はもともとあまりウソはつきませんでした。
「好きな食べ物はキノコです」という、何のためにつくのか分からないウソをつくくらいで(本当は嫌い。とくにエノキとナメコが大嫌い)。
ウソが少なかった理由を考えると、あまり叱りすぎなかったせいかもしれません。
三歳、四歳くらいまでの子供のウソは大半が身を守ろうとするものです。だから強く叱られれば叱られるほど、隠すためのウソは増えます。失敗などしたときにも、あまり叱りすぎないこと。罰も原状回復(落書きをしたなら自分で消させる、ものを壊したら自分で片づけさせる)を基本にしておけば十分ではないかと思います。
ところで娘ですが、5歳になったある日の朝食時に突然、
「お父さんごめんなさい。ウソついてました」
と言い出しました。こちらはぜんぜん心当たりがありません。
「ウソってなに?」
と尋ねると、
「…ほんとうは、キノコ嫌いです」
うん、知ってた。
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