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2014年4月13日日曜日

「天才! 成功する人々の法則」…② 「一万時間の法則」とは

 ①「マタイ効果とは」はこちら

 引き続き「天才! 成功する人々の法則」(マルコム・グラッドウェル)の話です。
 第二章では、たくさんの学生音楽家を調査した結果を扱っています。

 技術レベルのバラバラな学生たちにこれまでの練習時間をアンケート調査してみたところ、レベルと能力の間に、驚くほど明確な相関関係があったというのです。技術の差は、そのまま練習時間の差で、天才的レベルの人は例外なく一万時間以上の練習を行っていたとのこと。
 少ない時間で天才的なレベルに達した「飛び抜けた才能の人」はおらず、大量の練習を行いながら上達していない「全く才能のない人」もいなかったということです。

 グラッドウェルは、それ以外の例でも一万時間の例を上げており、ビートルズもライブハウスで集中する時間を持っていたし、マイクロソフトのビル・ゲイツも、アップルのスティーブ・ジョブズも、同じように長いプログラミングの学習時間を持っていたといいます。
 つまり、天才のレベルは練習時間次第、というのがこの章の内容でした。

 「よし、では今からガッチリ習い事をさせて天才に!」と考えたくなるのが親心ですが、どうでしょうか?

 一万時間の練習といえば、一日三時間の練習を十年間。五歳で練習を始めた子供が一万時間に達するのは十五歳です。
 五、六歳なら、言われるままに練習することはあるかもしれません。しかし小学校高学年ともなれば、言われるままに三時間の練習をすることなどありえません。

 つまり子供が進んでやる意志を持っていない限り、一万時間の法則を達成することは不可能なわけです。親の望む方向へ進ませたければ、親の価値観も含めて教える必要があるでしょう。音楽への愛を語り聞かせるとか…。

 逆に、子供自身の好きなことをやらせれば大丈夫か?
 親の希望に進ませるよりは可能性がありそうです。とはいえ、小さい子供のやりたがることはしょっちゅう変わりますよね。一万時間に達するかどうかは神のみぞ知る。

 としたら、一番できそうなのは子供の間に体力と意志力を鍛えておき、意思が固まった時に全力で応援することでしょうか。ビートルズにせよ、ビル・ゲイツにせよ、一万時間に集中するようになったのは十代後半からです。一日十数時間の練習を、自らの意思で重ねることで、一気に力をつけたのです。
 もっとも、どんな人でもそんな強い意思を持つ時期がくるのか、というとそれもわかりませんよね。少なくとも私は経験がありません(笑)。

 「一万時間の法則」というと、誰でも一万時間で天才になれそうな気になります。でも本当のところは、意思と偶然、チャンスの一致があって、はじめて成り立つことなのかもしれません。そうした幸運も含めて「天才」なのでしょう。

 この一万時間の法則、最近は反論も出てきています。次回は、その反論について。

 ③はこちら



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