②「一万時間の法則とは?」
③「一万時間の法則への反論」
そんなわけで、どうしたら子供を伸ばしてやることが出来るのか。
斉藤孝氏に「五輪の身体」という著書があります。オリンピック選手に、身体についてのインタビューをした本です。そのあとがきで「伸びる選手かどうかは、たったひとつの質問でわかる」と言っています。
その質問とは、 「今、何を練習していますか?」。
伸びる選手は必ず「○○の能力を伸ばすために、□□の練習をしています」と、明確な課題と練習ポイントを口にするそうです。ただ長時間の練習をしているわけではなく、自分に必要なものが何かを考え、その部分を伸ばすために、時間を有効に使っているのです。
こうした選手と、ただ繰り返して練習する選手とでは、同じ時間だけ練習していても上達には雲泥の差が生じます。
モンテッソーリ教具の特徴の一つが、やっている子供自身が、自分のしたことが正しいかどうかを自分で判断して、修正できるように設計されていることです。
たとえば「差し込み円柱」は、ピッタリ合った穴に入ったことが、自然にわかるようになっています。円柱よりも小さな穴だと入りませんし、大きすぎる穴だとガタガタになって、間違っていることがわかります。大きさを10段階に分けた積み木「ピンクタワー」も、積み方が違えば形がいびつになり、一見して違うとわかるようになっています。
結果を見て、すぐに修正できるように設計されているので、繰り返しがそのまま学びにつながるのだと言えます。
この考え方は、他のことを学ぶ上でも有効です。つまり、「自分の問題点を意識でき、上達するための方法がわかる」ようなフィードバックが確立していれば、練習時間が結果につながるのです。
前回書いたハンブリック教授が「指導の良否が問題」と言っていたことは、これを指しているのでしょう。良い先生は、生徒の問題点を見つけ、すぐにフィードバックしてくれます。適度な難易度で課題を出すことで、生徒は効率よく上達の階段を上っていけるでしょう。マンツーマンでないと難しいかもしれませんが…。
ビートルズやビル・ゲイツの場合は指導者はいませんでしたが、専門知識を蓄えたり、自分の完成を磨くことによって、どうすれば上達できるかがわかるようになっていたと言えます。だから、時間をかけるに比例して上達することができたのです。
ということで、子供のために親ができること。
すでに子供の方向が決まっている人は、
「問題点をみつけ、適切な課題を出してくれる指導者を見つける」
まだ決まっていない人は、
「子供が自ら学び、伸びていけるような意志と感性を育ててやる」
という事になりそうですね。
ウチも、将来何になるかわからないクチです。
付記
有効なフィードバックを与えるという点では、コンピュータやゲームは無視できない存在です。学習ゲームについては、また改めて書こうと思います。
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