前回、超早期の英語教育は無効で、少なくとも幼稚園に入ってからではないか、という話を書きました。
では、私の家では英語教育をしているのかというと…今のところはしていません。
英語を学ばせることに意味があるという確信がもてないのです。
■英語は世界の共通語という現実
世界の共通語は英語。インターネット上も共通語はほぼ英語。
この現実は、おそらくあと100年位は続くのではないでしょうか。そういう意味では、英語の重要性は今後も変わりません。
英語が読めれば、世界中の文献を読めます。書ければ、日本語の一億二千万人と比べて、十倍以上の人に読んでもらうことができます。会話できれば、世界のあちこちの人と親しくなれます。もちろん国際的な仕事でも有利。
では、何に確信が持てないのか。
英語を覚えて話す必要があるかどうかが、わからないのです。
■英語は必要だけど…
私がそう考える理由は、自動翻訳の進歩です。
私の娘が、今8歳。仮に大学まで出て、社会にでるまで、15年弱。
コンピュータには「ムーアの法則」と言われる法則があります。部品の集積度が、一年半で二倍になるという法則ですが、コンピュータの処理能力も、ほぼこれに連動して向上してきています。15年あれば、2の10乗、つまり1024倍。
実際、15年前のコンピュータの状況を考えてみると、インターネットはまだ電話回線でつながっていて、WEBには動画が無く、携帯電話はようやく一般に普及し始めたばかりでした。
処理能力と、記憶容量の大きさは、今と比べると隔世の感があります。
今のところの翻訳ソフトは、逐語訳に毛が生えた程度。翻訳者が、辞書をひく手間を省くために使っているのが現状です。
しかし、その翻訳ソフトがこれから15年でどこまで発展するか。もし会話をリアルタイムで翻訳できたり、楽に読める程度の文書翻訳ができるようになっていたら、英語が話せるスキルの価値はどうなるでしょうか?
中途半場に話せる程度の能力なら、あってもなくても同じになるでしょう。しかも機械の進歩とともに価値は下がってゆくはず。
もちろん完全にネイティブ並に話せる人の存在価値は変わりません。他の分野と同様、極めた人にだけ価値があります(ただし、英語が話せるだけの人は英語国家にいくらでもいるので、英語と同時に高度な日本語能力を身に付けていることが前提)。
もちろん完全にネイティブ並に話せる人の存在価値は変わりません。他の分野と同様、極めた人にだけ価値があります(ただし、英語が話せるだけの人は英語国家にいくらでもいるので、英語と同時に高度な日本語能力を身に付けていることが前提)。
■3000時間を何に使うか
英語は、できる方がいいに決まっています。
機械を通して会話するより、直接会話の方が親しくなれますし、誤解も少ない。機械では伝わらない微妙なニュアンスもあるでしょう。文章だって、翻訳機に頼らないで読める方が効率がいい。
でも、そうしたメリットは英語を学ぶコストと引き換えです。
日本人がネイティブ並みに英語を使えるようになるためには、約3000時間が必要だと言われています。これは毎週4時間の勉強を15年、夏休みも冬休みもなく続けて、ようやく達成できる時間です(ちなみに現在の、中学、高校、大学の英語の授業を全部合わせても、約500時間とのこと。日本人が英語が苦手なのは、単に練習量が足りないという説もあります)。
3000時間を英語に使えば、どこかでその3000時間が減ります。読書が減るかもしれない。体を動かすことが減るかもしれない。経営やプログラミングを学ぶ時間が減るかもしれない…。
それなら、英語は機械の発達に期待し、その時間で別の知識やスキルを身に付けるほうがいい、という考え方もできます。将来、日本でずっと暮らすなら、英語を後回しにする方が得。
一方、将来海外で生活するなら、英語が話せる能力は必要だから、英語を学ぶ方がいい。
それなら、英語は機械の発達に期待し、その時間で別の知識やスキルを身に付けるほうがいい、という考え方もできます。将来、日本でずっと暮らすなら、英語を後回しにする方が得。
一方、将来海外で生活するなら、英語が話せる能力は必要だから、英語を学ぶ方がいい。
つまるところ、コストと得られるものを比較して、どちらをとるかのギャンブルです。
私は今のところ、無理に英語を習わせるほどの決心がついていません(無理に押し付けて、英語に拒否反応を持ったら元も子もない、という理由もありますが…)。
子供には、きっかけになるように面白半分の英語ゲームは与えていますが、それほどノッていない様子。当分は、興味をもつまで放っておき、本人が好きな読書や工作に時間を使わせるつもりです。
英語学習に関しては、日本の将来に関わるもっと大きな問題があります。それについては次回。
英語学習に関しては、日本の将来に関わるもっと大きな問題があります。それについては次回。
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