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2014年6月17日火曜日

東大合格者の親が「勉強しろ!」と言わなかったワケ④(補足)

 東大合格者の親が「勉強しろ!」と言わなかったワケで、子供が勉強するには、社会的欲求が満たされている、つまり「安心できる居場所がある」ことが必要、という話をしました。その時の書き忘れ。

 安全が必要なら、スパルタ方式はどうなんだ? という疑問が湧くかもしれません。
 後ろからムチで叩くとかしても(表現が古いな!)、成績が上がるじゃないか、と。

 結論から言えば、スパルタ方式でも成績は上がります。
 勉強しないと痛い目にあう、という状況なら、誰でも勉強に向かいますよね。勉強している時間が増えた分は、結果が出るはず。

 ただ、能率が良いか悪いかは、別の問題です。

 人間を含めた生物は、長い生存競争を生き抜いてきました。
 生物にとって、一番の危険は肉食動物に襲われること。そこで危険を感じる状況では、「戦うこと・逃げること」を再優先した身体反応が起こります。

 心臓の鼓動を上げ、筋肉に血液を集中。呼吸を多くし、血糖値を高くして、運動に適した状態に。脳は生存に関わる情報を優先して処理。
 …早い話が、勉強には全く適していません。

 スパルタ方式は、勉強時間を増やすだけと考えるべきでしょう。ふだん全く勉強しない子供なら意味があるかも、という程度。

 スパルタ方式に関しては他にも
・勉強嫌いになって、自分から勉強しなくなる可能性が高い
・親よりも体力がつくと使えないので、小中学校まで

 という特徴があります。
 大学受験までこれで押し切るのは、かなり難しいでしょう。東大合格者にスパルタ式の子がいない(少ない)のは、そんな理由なのです。
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 以上は一般的な話。 
 実は、マズローの理論を元にスパルタ方式を考えると、もっと根本的な問題が出てきます。

 マズローの理論では、安全欲求が満たされてから、社会的欲求が生まれてきます。勉強の時だけならまだしも、生活全般にスパルタ式が入り込んで「安全」が無くなってしまうと、社会の一員として暮らすための社会性の発達を邪魔する可能性があります。

 犯罪者の幼児期を調査すると、虐待、ネグレクト、スパルタ教育など、安全性に欠けていた例が多いのは、統計で証明された事実です。

 秋葉原連続殺傷事件の犯人が「風呂で九九を暗唱させられ、間違うと湯の中に沈められた」というスパルタ教育の思い出を語っていたのも有名。
 子供時代の「安全」の重要性は、もっと語られてもいいと思うのです。

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